「情報過多の現代社会だからこそ、手紙を通じてゆっくりとした時間を体感して欲しい」
そう願いつつも、年々手紙を書く人が減り、手紙文化時代が衰退しつつあります。
いったいどうしてでしょうか?
先日「手紙を書かない理由は何ですか?」というアンケートを実施しました。
本日はこのアンケート結果をもとに、文通歴26年の筆者の見解と想いをお伝えしたいと思います。
アンケート概要
アンケート期間:2024年1月12日~2024年1月19日
開催媒体:X(旧Twitter)のアンケート機能
質問内容:手紙を「書かない」理由は何ですか?率直な意見お待ちしております!
回答内容:選択肢(「住所を教えたくない」「何を書いたら良いか分からない」「手書きが面倒」「その他」)より回答。「その他」の場合はコメントに記載してもらう。
アンケート結果
投票数:83票
投票内訳:
住所を教えたくない:9票
何を書いたら良いか分からない:39票
手書きが面倒:22票
その他:13票
ここから、結果を元に、文通歴26年の筆者による見解と想いを述べていきたいと思います。
何を書いたら良いか分からない
手紙を書かない理由、第1位。
正直、これは意外な結果でした。
普段、SNSなどに投稿したり、友人知人とやり取りをしたり。
手書きかデジタルかの違いだけで、書く内容の本質は変わりません。
「手紙」というだけで、かしこまってしまうのでしょうか?
「今の気持ち」「今感じていること」「今日のできごと」など、手紙の内容は何でも大丈夫です(ただし、誹謗中傷はやめましょう。自分が受け取ったら嬉しいな、と思う内容を書きましょう)。
すぐに書けない場合は、まずは適当な紙に書き出してみると、内容がまとまりやすくなるし、思考の整理にもつながります。
また、季節の挨拶や文頭文末の書き方は、ビジネスマナーとしても大切。
知っておくと、ビジネス文書を書いたり、メールを書く時にも役立ちます。
手書きが面倒
手紙を書かない理由、第2位
手紙をお勧めする筆者にとって、洗礼でもある「デジタルの普及」。
確かに、デジタルは便利です。すぐに文章が作れるし、予測変換もできます。外国語の文章を日本語に翻訳したり、相手に送るのだってボタンひとつで可能です。
筆者も、このようにデジタルを使用して発信しているし、毎日パソコンやスマホを使います。
しかし、デジタルが普及する前、遡ると、ワープロが普及する前ぐらいでしょうか。
みんな、手書きで文章を作成していたと思います。
それが、デジタルの波に乗ってデジタルに移行しました。
将来、デジタルよりさらに高機能な何かができた場合「デジタル機器で書くのが面倒」という気持ちになってしまうのでしょうか?
便利なものを活用していくことは必要ですが、それによって大切な文化がなくなってしまうのはちょっと残念な気持ちもあります。
筆者は、デジタルの恩恵を受けつつ、手紙は未だ「手書き」にこだわっています。
その理由は、やはり「好きだから」です。
手書きにはその人の心が宿ります。
「忙しい時」「イライラしている時」「悲しいことがあった時」自然と自体が変わるのです。
これは、デジタルでは表現することかできません。
平たい文章が立体になる、そんな感覚になります。
住所を教えたくない
手紙を書かない理由、第4位
正直、この理由が1位だと思っていました。
個人情報を悪用して悲しい事件も発生してしまう昨今、住所を教える=住んでいるところを教える、ということは抵抗があるかと思います。
今は、郵便局留めでも、自分の住所を書かないと引き受けてもらえません。
もし、住所を教えることに抵抗があるだけで手紙を書かないのであれば、私書箱などを活用するのも良いでしょう。
もしくは、日本郵便やヤマト運輸が提供している、匿名配送サービスを活用することも出来ます。
これらは、フリマサイトのように、お互いの住所を知らなくても手紙を送ることが可能です。
この理由が1位だったら、筆者も納得の結果でした。
しかし、まさかの最下位。1位と比較すると1/5です。
これは、もっと手紙を広めても良いよ、という結果なのでしょうか。
前向きに捉えていきたいと思います。
その他のコメント
その他「手紙を書かない理由」としてコメントいただいた中から数個、筆者の見解や想いをご紹介したいと思います。
手紙以外の手段が増えて書かなくなった
これは、現代の手紙文化の衰退の大きな理由だと思っています。
もちろん、便利なものがあるのに、それに反して手書きの手紙を書く必要はありません。
しかし、前述しました通り、手書きの文字に宿る人の心。これは手書き以外では表現できない温かさがあります。
手紙を出したことがない
現代社会は、生まれた時からデジタルに囲まれて育ちます。
そのため、今後「手紙を手書きで書くなんて知らなかった」という人も増えてくるのかも知れません。
しかし、江戸時代には、先払いで手紙を預け、遠くの町まで徒歩で届けてもらっていたのです。
現代では「手紙を徒歩で届けるなんて」と驚いてしまいますよね。
このように、手紙に対する知識も、時代と共に変わってくるのかも知れません。
これは、筆者の力だけではどうすることも出来ません。
メールの方がてっとり早い
こちらも、時代の流れによる回答、紛れもない事実です。
メールはパソコンやスマホで文章を書きその場で送れるのに対して、手紙は紙とペンと切手を用意し、手書きで書き、封をしてポストに投函する必要があります。
しかし、筆者は、手紙にスピード感を求めていません。
いつ届くのか?本当に届くのか?というワクワクを感じながら手紙を書いてポスト投函しています。
手紙を通して「ゆっくりとした時間」を感じてほしいな、と思い、このような発信をしています。
手紙が嫌ならば無理に書く必要はない
以上、アンケート結果をもとに、筆者の見解や想いを述べてみました。
デジタル社会からはじき飛ばされそうになっている手紙文化ですが、嫌ならば無理に書く必要はないと思っています。
筆者も「手書きや手紙が嫌」という人に手紙を勧めるつもりはありません。
嫌々書かれた手紙を受け取っても、相手は嬉しくないでしょう。
「なんだか情報過多で疲れたな」「昔はもっとゆっくりしていたのにな」
便利な現代社会の中で少し疲れてきたら、手紙を通してゆっくりとした時間に浸ってみるのも良いのではないか?という想いです。
届いた手紙を、暖かいコーヒーやお茶を飲みながらゆっくりと読む。
そんなゆっくりとした時間は、筆者にとって至福のひと時です。
「何をどう感じるか」は人それぞれですが、こんな素晴らしい手紙文化、残って欲しいな、と心から願っています。
写真提供元
Pixabay / Canva